ヒメアノ～ル 古谷実

やっぱりいいですよ古谷実氏～



いろいろな書評でも「またか～」「想像通り」という感想が
目についたのですが、予定調和でいいのではないでしょうか。

非常に興味深く古谷作品を読ませてもらっています。
今回のヒメアノ～ルも勿論です。

以前、教育学のレポートで古谷氏の作品を取り上げて、
「教育環境の二極化」について書いたことがあったのですが、
中流階層が消失したというか、中流階層の格下げというか、
今まで上層、中層、下層というヒエラルキーが収入なり、
家柄なり、つまりは自分が育った教育環境によって不可視的に
存在していたものが、上流層は変わらずに存在し、
中流層が下流層に吸収されて、二極化が危惧されて
いるという結論だったと思います。

今回のヒメアノ～ルも普通の主人公ですよね。
清掃員で生計を立てている20代なんて普通ですよ。
古谷実氏の作品の中で描かれる主人公は、一見下流層に属している
と感じられるかもしれませんが、実際はどうでしょう？
今の自分と大差ないのはでしょうか。

人生は予定調和的である。
そんな命題の基に「シガテラ」「グリーンヒル」「わにとかげきず」
「ヒミズ」「僕といっしょ」もあり、今回の「ヒメアノ～ル」もあるのではないでしょうか。
予定調和的な中にも「殺人」「恋愛」といった自分の周りからの刺激を
誰しもが求めている。
少なくとも私は求めています。

古谷実氏～わかっているよ～

でもやっぱり今までとは違う展開も期待してしまいます。
私も刺激がほしい。

ちなみに古谷氏の描く女性陣も遺伝子の予定調和と言いますか、
非情なまでの二極化がみられます。
ヒメアノ～ルでもそれは顕在です。
それにしても毎作品主人公の彼女はいいですよね。
私はこんな女性を想像しています。
グッときます。

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